「紅き痕跡」

戒の「はろうぃんって・・・・なに?」という質問(成績が良いくせに一般常識を知らなかったりする)からじゃあ説明するよりやったほうが早いねという意見が通り急遽開催することになったハロウィンパーティー。
とは言っても人の家を尋ねるてお菓子をくれとねだるのも高校生にもなってアレなので、各自がお菓子を持ち寄りトリック・オア・トリートと言い合うことにしたが、それなりにみんな楽しんでいた。
そんな中、我らが愛すべき受け子(笑)伊織順平はというと。

何故かトイレで真田に壁際まで追い詰められていた。
「知っているか?順平」
吸血鬼に扮した真田が両手を壁につき順平を囲うようにすればこれでもう籠の鳥の完成だ。
あ、腕を潜って逃げればいーじゃん、というつっこみはナシの方向で。話が進まなくなるんで。
「な、なんっすか!?ってか、顔近すぎっす!}
と、こちらは狼男に仮装した順平。ぶっちゃけ狼というよりその姿は犬に近く大変愛らしい。
真田は内心(首輪をつけて飼いたいものだ)とか変態発言を呟きつつ顔には出さずに順平の唇スレスレで囁く。
「古来狼男は吸血鬼への供物によく使われたそうだ」
「へー」
順平のそれなりに高い危険察知能力が大音量でアラームを鳴らす。暑くもないのに大量の冷や汗が背中を伝うのがはっきりと分かる。
(なんか嫌な予感がすっげえする・・・・)
「さて順平」
「・・・・・・・・ハイ・・・・・」
「お前の甘露で俺の乾いた喉を潤させてもらうぞ」
(ああああやっぱりーーーーーー!!!!)
予感的中。


ぴちゃり、と順平の首筋を真田の舌が這い回る。
「ひっ・・・・・」
舌自体がまるで意思を持った生き物であるかのように的確に順平の感じるところを探り当てながら、何度も首筋を上下に行き来する。
「安心しろ・・・・・。最後までする気はない」
(最後までってアンタ何かはする気あるんじゃんーーー!!)
心で滂沱の涙を流しながらつっこみをいれていると、突然首筋を噛み付かれ犬歯で特に柔らかい肉の部分を噛み切られた。
「痛っ」
ピリッとした痛みが走った後、溢れ出す血を舐めとられていく。
ピチャピチャと耳の近くで音がして物凄く恥ずかしい。
まるで本当に自分が真田に血を吸われているかのような気分になる。
「・・・・・甘いな」
首筋に埋めていた顔を離すと順平の顔の前でぺろりと自分の唇を舐める。
その紅い舌がちらりと見えた様子がやけにエロティックで順平はしばし見惚れる。
真田は順平を囲っていた腕を下ろすと一歩下がりその様子を見つめくすりと笑った。

「今宵はお前の寝所へ行くよ」
鍵は開けておけよ?

そう言うとバサッとマントを翻しその場を立ち去ろうとする。
が、途中で振り返ると小さな箱を投げつけてきた。

「わっわっわ」
順平はあたふたとしながら箱をなんとかキャッチした。
「ココ」
トントンと首を指差す。
「隠しておけ」
そのまま今度は本当に立ち去った。
「?」
貰った箱に目を落とす。

『傷口につきにくい!環境に優しいばんそうこう』

・・・・・・・まさか!!

ダッシュで鏡のところに走り覗きこめば、明らかに首筋には何かに噛まれた傷痕が。

絆創膏を付けてみんなの前に出て行った時のみんなの反応を想像する。

首の絆創膏に集まる視線。
そのうちああ、と納得したように肯いてまた何事もなかったかのようにパーティーを再開。
その話題には触れずに生暖かい目で自分を見つめるだろう。


「バレバレじゃないっすかーーー!!!!」


その夜順平が本当に鍵を開けておいたのかどうかは二人しか知らない。

END

あとがき
なんか真田さんが変な人に。とりあえず二人がくっついていることはみんな知ってる設定。
ちなみに 戒→ミイラ男 順平→狼男 魔女→ゆかり 雪女→風花 会長→シスター 
真田→吸血鬼 アイギス→ミイラ女(戒と同じが良かったらしい) コロマル→ジャックフロストの帽子被ってました  天田→キョンシー(お札を顔の前に貼った中国のお化け)です。
今考えました。疲れた・・・。
でもこれいつのハロウィンだろう?ゲーム中?END後?自分もわからん。みなさんのご想像にお任せしますね。
もしもゲーム中なら幾月は仕事で不在だったということで。(思いつかないよこの人の仮装)
ついでに作中の真田の言葉ですがどっかの本で聞きかじっただけなのでホントかウソかわかりません。