「どうした?」
朝日が窓から差し込む部屋、その部屋にあるベッドでうつ伏せになったまま動かない順平に荒垣は声をかけた。
起きていることはすでに確認済みだ。
「腰が痛くて動けないっす」
情けない声が聞こえたくる。
「だいたい荒垣さんねちっこすぎますよー。オレ初めてだったのに」
「その分ヨガってたじゃねえか」
「そりゃそうっすけど・・・・」
ぶつぶつ小声で呟く。
しばし、無言の時が流れる。
「後悔してないか?」
もしかしたら、それを自分は一番恐れているのかもしれないと思いながら尋ねる。
心と躰は違う。いくら精神で納得しても躰は拒否する可能性だってある。
もしも順平が抱かれてみて嫌悪を感じたのなら、どうしようもない。
(いまさら手放せやしねえのにな)
何故自分は尋ねているんだと自嘲する。
しかしそんな荒垣の思いを順平はあっさりと否定した。
「するはすないっしょ。してたらあんた殴ってさっさとこっから出てます」
だから安心してください。と言外に滲ませる。
「・・・・・・そうか」
羽織っていたシャツを脱ぎ捨てれば、逞しい躰があらわになる。
そして裸のまま順平に覆いかぶさった。
「荒垣さん?」
順平が尋ねるが言葉はなく、躰をまさぐる手で返事が返ってきただけだった。
順平は苦笑すると仰向きになり男の背中に手を回した。
「お手柔らかにお願いします」
「・・・・・・努力はしてやるよ」
そう言って荒垣は人の悪そうな笑みを浮かべるのだった。
END
あとがき
非力な戦車=順平で。 ガキさんの鉄壁のガードを破るのではなく、するりと隙間から入って本人を落としました、みたいなイメージ。
でもけっこう脳内荒伊の設定シリアスなんだよな。ガキさんはねちっこいと思う、大人だし。
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