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番外編 四日目に何があったのか

0.「愚者の微笑み」

照りつける太陽。蒼い海。澄み切った空。木漏れ日が溢れる涼しげな森。
そんな中、海へと続く道を水着姿で歩く集団がいた。

「じゃ〜ん!海って言ったらやっぱコレっしょ!!」
そう言って順平が大きな袋から取り出したのはスイカ。
「あんたどっからスイカなんか・・・・」
ゆかりがあきれた顔で言う。
「へっへ〜ん、料理場行ってもらってきましたー!!」
「バッカじゃないの!?」
「そういうゆかりっちは何持ってきたんだー?」
「あたしはビーチボール・・・・戒がしたことないって言ってたしね。ビーチバレーしようかなって」
「スイカで何をするんだ?」
不思議そうな顔をした美鶴が話しに割り込む。真田も同感のようだ。
「へ?」

もしかして知らないのか?まさかなあ。ああでもこの人たちならなんかありえそうと全員目が点になりながらも密かに納得する。


「い〜ち、に〜い、さ〜ん、し〜い・・・・」

そんなこんなで、砂浜に到着した一行。
まあ実際にやったほうが早いだろうということで言いだしっぺの順平がスイカ割りを実演することに。
目隠しをしてから、とそこらへんで拾った太く長い木の枝でぐるぐる回る。

「・・・ご〜、ろ〜く、しち、はち、きゅう、じゅっ!!」

かなりすばやく回ったので十回数えるころにはふらふらになっていた。

「指示お願いしマ〜ス!!くぅ〜フラフラするぜー!!」

「この状態で周りの人たちが声をかけてスイカまで誘導させるんです。もうちょっと右だよ〜とか言って」
「させてどうするんだ?」
「あの持ってる木の棒で割るんですけど、けっこうそれが難しくて・・・何人かでやるとたまに嘘の方向に導こうとする人がいたりして、全然違うところを打ったりしますね。そうやって楽しむというか・・・・・」
「なるほど、ただ食べるのではなく割るまでの過程も楽しむ・・・・なかなか合理的じゃないか」
「はあ・・・あ、順平君、行き過ぎてるよー!」
「おー!サンキュー」

その近くで戒にビーチバレーの仕方についてレクチャーしていたゆかり。
「いーい?戒。ルールはバレーと同じ。ただ、砂浜だから足がとられやすいの。そこんとこだけ気をつけて」
「うん」
「じゃ、一回ボール投げてみるから打ってみて」
「うん」


一方、順平はと言えば。
「順平、もう少し右だ」
「また行き過ぎてるよー!」
指示された通り危なっかしい足取りのままスイカに向かって歩き続けていた。
「よし、そのまままっすぐだ」
「ういー」
言われたとおりまっすぐ歩く順平。

その先に待っているのはスイカではなく、手を広げてばっちこーいと言わんばかりの満面の笑みを浮かべた真田。

さては目隠しのままお持ち帰りするつもりだな!?

しかしそうは問屋が卸しません。戒とゆかりがそれに気付くと素早く目を交わす。
「戒!!」
『ソレ』を駆け寄って持つと思いっきり天に向かって投げ飛ばす。かなり重量があるはずのソレは普通のボールと変わらないかのように易々と高く飛ばされた。女子高生の力じゃねえだろ、おい。
「うん!」
助走をつけてると空高く一気に高く舞い上がる戒。狙いをきっちりと確認して
「あたっぁぁぁーく!!!」
勢い良く戒はソレを真田に向かってアタックする。

ソレ・・・つまりスイカを。

「なっ!?」

ばかん!・・・・・・・ばたん。
スイカが頭に見事に命中し砂浜に沈む真田。割れたスイカの中身が散らばってなんだか流血現場っぽい。

「ああ!真田センパイが・・・」
言ってることとは裏腹に楽しそうな顔をした風花。ぜってえブラックだ。
「でかした!岳羽、亜藤!!」
うわあこの人に至っては褒めちゃってるよ。
「あはは、すいません真田センパーイ。ボールとスイカ間違えちゃいましたー」
「しっぱいしっぱい」
騒ぎに気付いた順平が目隠しを取って周囲を見回した。
「どーしたんだ?・・・・て真田さんなんで倒れてるんすか!?」

へんじがない。ただのしかばねのようだ。

「・・・・・・・ま、いっか」

順平、お前もか。





そんなわいわい騒ぐ特別課外活動部のメンバーを遠くから見つめる人影が二つ。

桐条父「美鶴はいい友人を持ったな・・・・」
幾月「そーかなー(汗)」

ついでにノリについてゆけずポツンと砂浜に佇む機械少女も一人(一体?)

「おいてきぼりであります」

ごめんアイギス。君の事これ書き上げるまですっかり忘れていたんだ。

「・・・掃射!!!」

ぎゃーっ!!


あとがき
・・・・・・・・真伊?ごめんなさいリクは「屋久島・真伊」だったんですけど・・・なんかギャグに走り、どっちかと言えば順平、総受け?
しかも拍手お礼に載せてしまってすみません。これ、喜んでいただけますかねえ(汗)