「ん・『・・・・ん』」
宋の社会経済・文化
・商業の制限が取れて都市が繁栄
・科挙において殿試(皇帝による面接)が始まる
・宋学(儒学)
・四書が重視された
・大成者:朱子(南宋)⇔陸九淵(南宋)後の陽明学に影響
文・・・ねむい も どう で も ぃ ぃ
>少しだけ目を閉じますか
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授業中勉強に飽きて隣を見たら、戒が爆睡してました。(状況説明)
(おー、よく寝てら)
無理もない、と思う。
(生徒会に水泳部に美術部に手芸同好会、んでいろんな人とオツキアイしつつ夜はタルタロス。そりゃ疲れるわな)
学力は天才で、魅力はカリスマで、勇気は漢とパーフェクトな、三拍子揃ったすごい奴。
(こーやって眺めてるぶんにゃフツーの高校生って感じなのになあ・・・・)
以前はみんなから期待され、そして期待に応えるだけの能力を持った戒に嫉妬し、反発したりもしたけれど、戒はそれだけの努力をしていると、今なら素直に認められる。
自分は嫉妬するだけで何にも努力しようとしてなかった。
(じゃ、オレはオレで今からがんばりますかね・・・・・)
気持ちよさそうに眠っている戒をそっとしておいて、順平は視線を黒板にもどし意識を集中し直した。
未だに勉強は苦手だけど、前よりは拒否反応が無くなったよな、と思いつつ。
数十分後。
「戒ー!!起ーきーろー!昼メシの時間だぞー!」
「んー・・・・」
ぺちぺちと軽く頬を叩きながら何度か呼びかけると、薄く目が開かれる。
「ごはん・・・・?」
「そ。メシ。お前の分も買ってきてやったから」
目の前でパンが入った袋を上下させる。少しでも寝かしてやろうと戒の好みもわかったことだし買ってきたのだ。
「・・・・・・」
完璧に据わった目で順平とパンの袋を交互に見つめる。
寝起きの人間は何を考えているんかイマイチわからなくて怖い。
「ん」
ぱかっと口が開いた。
「???」
「食わせろってことじゃね?」
隣でその様子を見ていた友人が話しかけてきた。
「まじかい」
マジらしい。
まあ乗りかかった船だし、疲れさせてる理由の一端を自分も知っていることだし。
(しゃあねえなあ、甘やかしちゃるか)
一口サイズに千切ったパンの欠片を開いたままの戒の口へ放り込む。戒が口をもごもごさせている間に自分もパンに齧り付いた。
「んまい・・・・・ほらよ」
口が開いたので再び放り込み、戒が咀嚼しているうちに自分の食事を、という工程を繰り返す。
もぐもぐ。
「・・・・・・ん」
「ほいっ」
もぐもぐ。
「・・・・・・ん」
「ほいっ」
もぐもぐ。
「・・・・・・ん」
「ほいっ」
(なんか鳥のヒナにエサやってるみてえ・・・・)
無論鳥のヒナにしては強すぎるが、無心に順平の手から与えられるパンだけを見つめるその様子は鳥のヒナという表現が一番しっくりくる。
(ってことはオレが親か飼い主か?オイオイ・・・・)
「・・・・・ん」
「これで最後だぞ・・・ほいっ・・・・・・あーあ、手がべっとべと」
戒は甘いものが好物なので、戒用のパンはあげパン、メロンパン、3色コロネなど大量に。
自然パンを千切った指にはチョコやら砂糖やらがたっぷりとまとわりついていた。
もぐもぐもぐ・・・・・・・・ごくん。
最後の一口も食べ終えた戒。しかしまだ物足りないようで。じーっと、物欲しそうな目で見つめらる。しかし、ない袖は振れない。
両手を開いて目の前で振り、もう無いことをアピールする。
「ないの。もー終わり。わかるだろ?」
「・・・・まだある」
「へ」
がしっとパンを千切った方の手首を掴まれた。
「これもらう」
戒は順平の手を引き寄せると、躊躇いも無く順平の親指をぱくりと咥えこんだ。
咥え込む、という表現が卑猥に感じるのはきっと作者だけじゃないだろう。
しかし実際に咥えこんでいるんだから仕方ない。
くすぐるように舌の先でつついたかと思うと、全体をまんべんなく嬲っていく。
時折犬歯と前歯で軽く歯を立てられる。
突然のことに硬直してしまった順平をよそに戒は目を細めおいしそうに味わっている。
根本まで口の中に収めては引き抜くことを繰り返し、一本一本指についた砂糖やチョコを丁寧に舐めとっていく。
永遠にも感じられる数分間の後、戒は最後の一本も舐め終わると、名残惜しそうに自分の口から順平の指を引き抜いた。
銀色の糸が一本、戒の唇と引き抜かれた指とを繋いでいでいたがすぐにぷつんと切れてしまう。
やけに戒の唇が紅く色づいて見えたのは気のせいだろうか。
両手を合わせ一言。
「ゴチソウサマデシタ」
それだけ言うと戒は机につっぷし寝息をたてだした。
「・・・・・」
もしかして白昼夢だったのかなと思ってしまったが、夢だったら指に噛み跡がつくはずがない。
順平は思う。寝ぼけた人間に親切心を下手に出すもんじゃないと。
味を占めた戒によって同じことを強請られることを幸か不幸か順平はまだ知らない。
END
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