当たり前のことだが、コロマルは言葉を話せない。
いや、アイギスとは会話(?)しているので一概にそうとは言えないが、普通の人間にはその言葉はわからない。
そのくせこちらの言葉をある程度理解してくれているように見える。本当のところはわからないが。
そのためコロマルはよく人から悩み事を打ち明けられやすい。
誰にも言えなくて、でも一人で抱えるには大きすぎる想いをコロマルに吐露していくのだ。
説明しているうちにも一人。少し会話を覗いてみよう。
コロマル〜、聞いてくれよ〜
ワウ?
オレさ、好きな人に告白されたんだ。前にも話したろ?アノヒト。
ワンワンッ
けどさ、断っちまった。すっげえ嬉しかったのになあ・・・・オレなんかが、アノヒトの傍にいたら邪魔になるだけだって、もう一人のオレが言うんだ。んで、オレはその声に従ったワケだ。
ワウ・・・・・
オレらしくねえって?オレが臆病なの知ってるくせにー。うりゃ、ほっぺつねっちゃる。
アウ゛ンウウウ〜
これで、よかったんだよな・・・・。いま、つらくても、こっちのほうが、グスッ、アノヒトのためだよな。
・・・・・・ク〜ン
・・・・・グスッ・・・・グスッ・・・・・カッコワルイとこ、みせて悪いな。もう大丈夫だから、心配すんなって。
ワン!
あ!これ、アイちゃんにはオフレコな?いつもどおりさ。男同士の秘密ってことで。
ワンワン!
あんがとな。うっし、お礼に散歩連れてってやるぜ!
リードを繋いで玄関を後にする一人と一匹。
ところで。
これまたコロマルに話を聞いてもらった後、振られた手前顔を合わせずらかった青年が、順平が来るのに気が付いて男子便所に隠れていて、最初から最後まできっちりと話を聞いたことと。
そして一人と一匹の後を走って追いかけていったことを追記しておく。
END
|