「鍵」 全てを思い出して卒業式を飛び出したその日の夜。 オレと真田さんは真田さんの部屋のベッドの上で座ってじゃれあっていた。 いつもはもうちょっと恥ずかしいとか思ったり、抵抗するんだけど。 しかも電気はつけっぱなしだし。 なんか一気に思い出したせいで自分がどれだけこの人に飢えていたのかいきなり気付いちゃって。 そりゃあ昼間はみんながいたから大丈夫だったけど。 二人っきりでこんなとこにいたらそりゃあ欲しくもなりますって。 きっと真田さんも同じだろう。 抱きしめたり、お互いに軽くキスを額とかまぶたの上とか指とかいろんなところにしていく。 ああ、この人を構成する全てが愛しくてたまらない。 「しかし、お前があんなに料理がうまかったとはな」 オレの耳たぶを軽く噛みながら真田さんはいう。 夕方になって戒に料理をつくってやろうとしたら(記憶を無くしていたときによく作ってやっていたのだ) みんなに面白がられ、全員分作るはめになってしまったのだ。 「親父に・・・教えてもらったんです」 シュルッと音を立てて真田さんの首に結んであるボウタイを引っ張って解く。 「酒に走る前は親父は料理が好きだったんで・・・」 よく一緒に作ってた頃を思い出す。自分も料理は好きだったから、楽しかった。 なにがあったのかわからないけど親父は弱いというより優しすぎたのかもしれない。今ならそう思える。 ニュクスを倒す前に散々アイツを責めた時のことを思い出す。少なくとも親父は何かに八つ当たりはしなかった。 親父のことを思い出したくなくて全然料理を作らなかった。 それがこの一年でいろんなことを体験して、親父への気持ちが変わった。 記憶がなかった時もそれは感じていたから、アイツに作るとき拒否反応がおこらなかったんだろう。 「そうか」 今度はかちゃかちゃとベルトを外される。 「お前がいない間、何か違和感がこの部屋にあったんだ。」 オレは真田さんが話す間に無言でベストのボタンを上から外していく。 「いつも何かが足りない気がしたし、明らかに俺のものじゃないものが引越しのための片付けをしていたらごろごろ でてくるわで、相当悩んだぞ。 しかも何か気になる奴は男で、帰ってみたらそいつが押し倒されていたしな」 あれは戒が冗談でやったことだと思いますけど。あ、そうだ。 「真田さん」 「ん?」 「そんなかにゲームのカセットありました?」 「ああ」 そっか。それじゃいくら探してもみつかるはずないよな。 しかもお気に入りのやつばっか消えてたから、相当へこんだ。 ずっと真田さんの部屋に入り浸っていたもんな。道理で自分の部屋がよそよそしく感じたわけだ。 「後で返す」 シャツの上から指で胸の飾りをなぞっていう。 「あ・・・。いい、です。持って行ってください。」 どうせ遊びにいきますから。同じです。 「それもそうか」 今度はオレのシャツのボタンを口で外していく。嫌になるくらいゆっくりだ。 オレも負けじとシャツのボタンを外そうとするが、手が震えてうまくはずせねえ。 しかも一通りボタンを外し終えると、ズボンのチャックまで口で下ろしやがる。 「ひ!・・・・」 肌蹴たシャツとズボンを外されている間にオレも震える手で真田さんの残りのボタンを外しシャツを脱がしていく。 「んん!!」 いきなりオレの下着に手を滑り込ませて掴んできた。さすがにもう降参。あっけなくそのまま押し倒された。 「順平」 「なんですか・・・・」 「覚悟しておけ」 一ヶ月ぶんだからな。悪いが手加減してやれん。と話す真田さんの顔はオレが欲しいっていう欲に 支配されてかなり壮絶な色気に包まれている。 ・・・・背筋に電流がびりっと流れた気がした。 そりゃキツイ。いつもでさえも次の日がかなりつらいのに間が開いてるからなあ。 けど 「上等ッス」 オレだって負けないくらいあんたが欲しくてたまらないんだ。一ヶ月ぶんなのはこっちも同じだ。 「搾り取ってあげます」 足を絡め合って、ミダラなキスをする。 さあ、どっちの欲が勝つかな? 甘い甘い毒に犯されながらオレは思った。 ぐちゃぐちゃになるまで溶け合おう END あとがき なんじゃこりゃーーーーーー!!!!!一応これで3部作っぽいのは終了です。 ただし順平が話していた料理云々の話をそのうち書かなくては。 勝手に手が動いたせいでこんなことに・・・・・ ちなみになんで父親と順平の設定が料理好きなのかと申しますと、通い妻の話につなげたかったからです。 ええ、某絵板の新妻順平に刺激されました。あと攻め順平にも。 (腐った私の目には誘い受けにしか見えなかったわけですが) 順平だってオトコノコですから!かっこかわいくしよう!と書いた結果こんな感じに。 短期間でこんなに小説を書き上げたのは (かなり短いですが)初めてです。多少下書きをしていたとしても。 順平、恐ろしい子! by明
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