「じゃ、オレ食材選んでますね」
「ああ」
今日はスーパーになんでか二人で買い物。
オレが食材コーナー寄ってる間に切れかけてた石鹸を取りに行ってもらってる。
だってオレが石鹸持ったらご飯作んのに手に匂いつくからなー。ラッキー。
おっ、豚肉安いなー。
「順平!」
名前を呼ばれて振り向けば懐かしい顔。
「よっ。久しぶりー」
コイツとは腐れ縁でこっちに越したときからの付き合いだ。
まさか今でも付き合いがあるとは・・・・・・マジで腐れ縁だな。
しみじみと思っていたら
「よっ、じゃねーよこのボケー!!!人がどれだけ心配したと思ってるんだ!!」
胸ぐら掴まれて大声で怒鳴られた。怖え。
「いつの間にか休学になってるし・・・・・・、連絡つかねえし・・・家行ったら火事で全焼してるし・・・・」
手が震えている。
「もしかしたら、死んだんじゃねえかって散々・・・・・」
泣き出しそうな目。オレ心配かけちまったんだ。
「ワリイワリイ。いろいろゴタゴタしててさ」
「あ?言っとくがな、ハンパな理由でこんなマネしたとかぬかしてみろ、ぶっ殺すからな」
やべえ、目がマジだ。
「記憶喪失ー!?」
「いや、マジで。目え覚めたら驚いたのなんのって」
「ホントなのかあ?」
疑い深そうな目。オレもそう言われたら絶対信じないからな。しょうがねえよなー。
「ま、いーや。・・・・・しっかし安心したよ。オマエが元気そうで」
「え?」
「オマエ最後に大学来てたあたりの少なくとも二、三ヶ月エライ暗かったし。元気が空回りしてるってカンジで見てらんなかったぞ」
真田さんそんなこと言ってなかったよな・・・・?
「ま、お前が触れてくれるなオーラびしびし出してたからどうにもできなかったけど」
へえ、としか言いようがない。オレが知らない、オレ。何を思ってたんだ?
「順平」
「ん?」
「オマエこれからどうするつもりだ?」
確かにこのまま真田さんの世話になりっぱなしっていうのもなー。男がすたるっていうか、オレ、今のままだとヒモ?いやいや家事はやってるんだし・・・・・。
いっちょバイト探してみるか?
「順平」
オレを呼ぶ声が遠くから聞こえてきた。真田さんの声だ。
「あ、さな・・・・・・」
真田さんと言おうとして途中で止まる。真田さんの様子がいつもと違っていたからだ。まるで戦うときみたいに鋭い眼光。
鋭い瞳でしばらく見つめられた後、ふっと緩められた。
固まっていた躰が動き出す。
「ワリイ。連れの人が来たからオレ行くわ。じゃーな!」
「あ、ああ・・・・」
呼び止めたそうなソイツを置いて真田さんのところにオレは走っていった。
「アイツとは仲がいいのか?」
帰り道を歩いていると、ずっと不機嫌そうな顔をしていてなにも喋らなかった真田さんがイキナリ話かけてきた。
「アイツ?ああ。アイツとはこっちに越してきたときからの付き合いなんっすよー」
「そうか・・・・」
顎に手を当ててじっと考え込む真田さん。険しい顔をしている。
「嫉妬っすか?」
からかってみた。
「ああ。嫉妬してるな」
真顔で返されたよ!
「帰ったらオシオキだ」
「うえええ!!!あれくらいで!?」
「恋に狂った男はそれくらいやるんだよ。覚えておけ」
「っていうかアンタがオシオキしたいだけでしょう」
「・・・・・・・・まあ、そうとも言うな」
そう言うとやっと真田さんは笑ってくれた。
あとがき
名無し友人君、彼は馴れ初め編で順平を心配していたのと同一人物です。意外に使いやすくて・・・。
オリキャラなので名前出してないのですがいいかげん名前を出さないように頑張るのめんどくなってきました。
順平が通ってる大学の内容はなんにも考えてません。とりあえず順平はみんなにスパルタ教育で行けるだけの能力を付けさせられたということで。
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