主伊?どーだろねー。      


 


休日にまだ寝足りないとぐずる瞼を説得して布団から出るのはけっこう大変だ。
用事があれば起きる気力も湧くが、自分には銀髪の先輩のようにトレーニング大好きなわけではないので、そんな用事もない。
特にこんな寒い日は。
「う゛〜」
唸りながら何度も目を擦る。動くたびに冷たい空気が布団の中に侵入してくる。
折角の休日をずっと眠って過ごすのも勿体無い。
でも眠い。
「またコイツ潜りこんでやがる・・・・・」
そんな中隣の暖かい感触に目を向ければ、ごろんと隣で戒が寝返りを打っていた。
その整った顔は完璧な美少年で凝視にも十分耐えられる。
戒は順平が観察する中、ベッドの上を転がり床に痛そうな音を立てて落ちたが目を覚ます気配もなく眠ったままだ。
ある意味凄い。戒は睡眠に対する執着度が半端ではない。
そして順平と一緒に眠るのが特に好きらしい。
昨日一緒に寝て良いかと聞かれた覚えがないので、枕持参こっそりと潜りこんだらしい。
ついでにこれは初犯ではない。
いつもは鬼神な如き戦闘と冷静沈着で頼れるリーダシップを発揮するのに、妙なところで子供のままなのだ。
何度言っても止めないので、猫か犬と同じと思って最近は諦めている。
「かーいーそっちはさみいぞー」
「んー・・・・・・」
このままにしておけば風邪をひく。
自分もたいがいお人好しな気がするが、一度気になりだすとしょうがない。
腕を掴み無理矢理ベッドに引き摺り上げると、そのままぎゅうっと抱きつかれてつかれてしまった。
(・・・・・・・・あったけー・・・・・・・)
心地い他人の体温に包まれると、意識が遠ざかっていくのがわかるが反抗する気になれない。
本当は、順平が本気で嫌がれば戒もこんなことをしない。
にもかかわらず強く言えないのは、本当は自分もこういう感触が嫌いじゃないからなのだろう。

布団の中で二人ぬくぬくとまどろむ。
そんなある意味贅沢な休日。