背後から無防備な首筋にかぷりとかじりついた。
「オレを喰う気っすか」
これが情事の後の戯れとわかっているお前は笑いながら言う。
それができたらどんなにいいだろう。
しなやかな肌を食い破り、骨を断ち、溢れ出す血を啜りながらゆっくりと食す。
きっとお前の悲鳴すら甘いだろうな。
考えるだけでうっとりとなる。
本当の意味で一つになれない限り俺は空腹であり続ける。
お前と繋がっているときだけはその空腹感を埋めることができるが、離れてしまえばすぐにそれは復活する。
本能にも似たお前を求め続ける欲求。
お前の肉も、臓物も、骨も、綺麗な目も、血も、全てをこの胃に納め、そうしたら自分は満腹になるのか。
・・・けれども満たされたはずの胃はすぐに空腹を訴え、俺は飢餓で死ぬだろう。
お前の味を知った俺の腹はお前以外を受け付けないのに、お前がいないのだから。
ぼんやりとどうしようもないことを思う。
「真田サン?」
「・・・・・なんでもないさ」
お前を失えない俺は飢餓感を抱えて生きていく。
一言あとがき
メモ帳のこれにつけてた題は「空腹真田」わー、そのまんま。
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