細いその首筋に思いっきり噛み付いてみた。がりっという感触がして、鉄の味が咥内に流れ込んでくる。
もちろん吐き出すなんて真似はせずに一滴残らず飲み込む。
「痛っ!ちょ、天田少年なにしてンの!?」
普通は怒るところだと思うのに、まず理由を問う。
この先輩は自身のことに関してはかなり寛大だ。……自分としてはもう少し配慮を持って欲しいと思い眉を寄せるが、今は気にすることではないと思い直す。
「マーキング、です」
傷口から溢れ出した紅い液体を舐めとっていく。突然の、後輩の奇行に戸惑っているらしく硬直したまま振り払おうともしない。
「それと、無防備なのがどれだけ危ないのか知って欲しくて」
(僕に見せる姿が、いつだって子供っぽくふざけてる姿しか見せてくれないことがやけに悔しかったんだ)
ねえ、あのひとのまえではもっと違うあなたをたくさん見せてるんでしょう?
そんなのってずるいよ。
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